掛け軸の掛け方と外し方

多くの日本人が、日本の伝統芸術の1つ「掛け軸」に魅了されています。近年では、安価で気軽に楽しむ事ができる掛け軸も増えてきているため、年配の方はもちろん、若者からも注目を集めています。

こちらでは、掛け軸の掛け方や外し方、保管時の注意点についてご紹介します。

『掛け方』

巻紐をほどく ① 掛軸を巻いている巻紐の端を引っ張りほどく。
巻紐は右端へ寄せる ② 巻紐を後ろに回し、右端に寄せる。
掛軸を途中まで広げる ③ 下に置いた状態で掛軸を途中まで広げる。
当て紙を外す ④ 巻紐と風帯の当て紙がある場合は外す。
風帯を伸ばす ⑤ 折り込んである風帯を伸ばす。
風帯の折り目を伸ばす ⑥ 風帯の折り目が強い場合は折り目を指で押さえて伸ばす。
矢筈を引っかける ⑦ 掛軸の巻きの部分の中央を軽く持ち、反対の手で矢筈を持って矢筈を掛け紐に引っかける。
※掛軸を持つ方の手は力を入れすぎないように注意する。
金具に掛軸を掛ける ⑧ 矢筈を引っかけた状態のまま持ち上げて、掛軸を掛ける所の金具に掛け紐を掛け、矢筈を外す。
掛軸の両端を持つ ⑨ 矢筈を置き、掛軸の両端(軸先、または太巻芯が付いている場合は太巻芯)を持つ。
掛軸を広げる ⑩ 掛軸の両端を持ったまま一番下まで下ろして掛軸を広げる。
太巻芯を外す ⑪ 太巻芯が付いている場合は太巻芯を開いて外す。
※掛軸を掛けた後、「風鎮」を使用すると巻き癖が取れて綺麗に見えると説明されている事が多々あります。しかし風鎮は掛け軸へ負担をかけてしまうので、折れやシワを伸ばす目的で使用するのはやめましょう。
(風鎮についてはこちらをご覧下さい→「風鎮(ふうちん)について」

『外し方』

矢筈を準備する ① 掛軸の横に矢筈を立てかけて準備します。
太巻芯を取り付ける ② 太巻芯がある場合は軸棒にとりつけます。この時、太巻芯の向きに注意してください。開いてチョボが付いている方が奥(後ろ)側になります。
掛軸を巻いていく ③ 掛軸の両端(軸先、または太巻芯)を持って掛け軸を巻いていきます。
※絶対に掛軸の中央等を持って巻いたりしないで下さい。
風帯の下まで巻く ④ 両端を持ったまま、風帯の下まで掛軸を巻き上げます。この位置で巻きのずれを整えて、軽く下に引っ張り巻きを締めます。引っ張りすぎない様に注意します。隙間が無い程度で十分です。
矢筈を引っかける ⑤ 風帯の下まで来たら片手で掛軸の中央を軽く持ち、反対の手で矢筈を持って矢筈を掛け紐に引っかけます。
掛軸を下に降ろす ⑥ 矢筈を引っかけた状態のまま、掛軸を下に降ろします。
左の風帯のを折り込む ⑦ 矢筈を外し、風帯を折り込んでいきます。織り込む前に風帯用の当て紙を置きます。当て紙を入れておくと、掛軸を巻いた時に風帯の跡が出にくくなります。
最初に左側の風帯を右側に折ります。
右の風帯を折り込む ⑧ 次に右側の風帯を左側に折ります。風帯の長さが長く、掛軸からはみ出してしまう場合ははみ出さない所でさらに織り込みます。
掛軸を巻く ⑨ 風帯を両方とも折り込んだら、巻紐用の当て紙を挟み、掛軸の残りの部分を巻き上げます。
巻紐を巻く ⑩ 掛軸を全部巻き上げたら片手で持ち上げ、反対の手で巻紐を巻いていきます。この時、巻紐を持つ手は動かさずに、掛軸を回していくと簡単に巻紐を巻く事が出来ます。
※巻紐はあまり強く締めないように気を付けます。隙間が無く、緩みが無い程度で大丈夫です。
巻紐を折り込んで止める ⑪ 残った巻紐を折り曲げて、掛け紐の下を通します。
反対側まで巻き紐を折り込む ⑫ 折り込んだ巻紐を反対側の掛け紐の下に通します。
巻紐を整える ⑬ 巻紐の長さを揃えて整えます。

『桐箱へ収納する』

掛軸用の桐箱 ① 掛軸を仕舞う桐箱の蓋を開けて準備します。
桐箱の向きを調べる ② 桐箱には開け軸を仕舞う向きがあります。向きは枕(掛軸の軸先、または太巻芯が乗る部分)を見るとわかります。画像の様に幅の狭い方と広い方がります。
掛軸を仕舞う向き ③ 掛軸を仕舞う方向は、枕の広い方に掛軸の表木(八双)が来る方向です。
敷き紙を置く ④ 掛軸を仕舞う前に和紙や和紙をよく揉んだ揉み紙を桐箱の中に敷きます。掛軸を直接和紙で巻いてもかまいません。紙にシミ汚れ等が発生している場合は使用せず、新しい紙に交換するようにしましょう。
掛軸を桐箱に入れる ⑤ 掛軸の巻紐を整えて、表木(八双)が真上に来るように桐箱に入れます。
掛軸を正しい向きに整える ⑥ 桐箱に入れたら表木(八双)が枕の広い方に来るように掛軸全体を回転させて整えます。
向き、位置を整えたら蓋を締め、タトウ箱に入れて保管します。
※防虫香等について
掛軸を仕舞う時に、桐箱に収納する場合は特に防虫香や除湿剤を入れる必要はありません。桐箱はその素材に防虫・防湿効果があります。
質の悪い防虫香や防虫剤はシミの原因となりますので注意して下さい。
(防虫香についてはこちらをご覧下さい→「防虫香について」