京表具の御仕立て

掛軸・巻物(巻子)・額装・屏風・衝立・襖・その他

表装に仕様されている糊は乾いて固まると硬くなり縮むという性質があります。また、紙(和紙に限らず、用紙等でも)には水分を含むと伸びて、乾くと縮みます。紙の目(紙には縦目や横目といった繊維の方向があります)によって伸縮率も違い、また巻いた時の硬さも違います。
他にも、本紙に使われる事の多い絹は水分を含むと縦横で伸び縮みが違います。
これらの表装に使われているさまざまな材料の性質をしっかりと理解していないと美しい表具を仕立てる事は出来ません。

当店では歴史ある京都で培われた伝統と技術を引継ぎ、糊・和紙を使用し複雑な作業工程の中で時間をかけて加湿と乾燥を繰り返す自然乾燥を行いながら表装を行う【本表装(手表装)】にて、京表具(掛軸、額、巻物、屏風、襖、衝立等)の表装・御仕立てや修復・修理を一つ一つ丁寧に御仕立てさせていただいております。

総裏裏打の様子

本表装(手表装)の良さ

京表具の伝統的な技法を用いた【本表装(手表装)】にて御仕立てする事で、今までの歴史に裏づけされた「100年・200年の保存が可能で、将来的に修復が必要となった時にも水だけで解体・修復・修理する事が出来る表具・表装」を仕立てる事が出来ます。
また、極力薄い糊と上質な和紙を使用する事で、しなやかで巻きクセもつきにくい表装に仕立てる事が出来ます。

以上のような理由から、現在でも国宝や重要文化財の表装の修復・仕立て、また掛軸等の表装の財産を将来・子孫の為に大切に保存されている方々は機械表装(新表装等)ではなく、京表具の伝統的な技法を用いた【本表装(手表装)】での御仕立てを選ばれています。

喰い割き作業

機械表装(新表装等)について

近年、熱圧着紙やプレス機を使用した「機械表装(新表装等と呼ばれたりもします。)」という技法を使い表装・仕立てを行う表具店さんも増えてきました。
この「機械表装(新表装等)」という技法は糊・水を使わないので早く・値段も比較的安価に仕立てる事ができます。
しかし、この「機械表装(新表装等)」という技法は「まだ開発されてからの期間も短く、将来的に(100年、200年後)どんな状態になるのかがわからない」「プレス機を使用する為、作品(本紙)や裂地を高熱・高温にさらすので、少なからず影響の可能性がある」「また、水で簡単に剥がしたり解体したり出来ないので、将来的に修復・修理が困難な場合がある」という問題があります。
他にも、接着にラミネート等を使用している為、巻いていると巻きクセが付きやすく、掛軸等では掛かりが良く無い事も多いです。

各取り扱い品目について

掛軸・巻物 額装 屏風 衝立・襖・その他