主な修復内容

本紙アク汚れ除去 破れ・欠損の修復

修復前

バラバラの状態の掛軸の修復前 かなりの部分が劣化・変色し、粉々のバラバラ状態。 まだ繋がっている部分も少し力を加えると簡単に割れてしまう状態でした。
軸を開いた状態 少しずつ、湿気を含ませて柔らかくしながら、なんとか広げました。 広げてみると本紙の上部が特に粉々に割れており、欠損している部分も多数ありました。
バラバラになってしまった本紙 粉々割れてしまっていた本紙のかけら達。

修復中

本紙上部の修復前の拡大写真 割れの酷かった本紙の上部。粉々になって無くなっている部分が…。
本紙上部の修復中の拡大写真 粉々割れてしまっていた本紙のかけら達を一つ一つ元の場所へ戻していきます。
折れ伏せの修復作業を行った後の本紙 かけらを全て戻し、本紙を洗い汚れを除去してから裏打を行います。 その後、ひび割れ箇所が折れないように裏から細く切った和紙で補強(折れ伏せと言います)をしていきます。 画像は折れ伏せを行った状態。上の画像達ではわかりにくいですが、本紙にはこれだけの折れ・ひび割れがありました。

修復後

バラバラの状態の掛軸の修復後

修復後

欠損部分も目立たない様に修復し、アク汚れも除去したのでこんなに綺麗になりました!

解説

新聞紙に巻かれただけの状態で長い間保管されていたようで、和紙も裂地もかなり酸化してしまい掛軸の上部にあたる部分がかなり破損し粉々の状態でした。まだ破損していない部分も少し触ると簡単に割れてしまうくらい酸化し劣化していました。

本紙の割れたかけらも元に戻し、丁寧に洗い、汚れを除去し修復しました。

完全に本紙が無くなって元に戻せなかった欠損箇所は本紙と同じ紙質の和紙を本紙と同じ色に染め補いました。