主な修復内容
本紙アク汚れ除去 欠損部分修復 折れ修復
修復前・修復後
修復前
修復後
本紙 修復前・修復後
修復前
【本紙 修復前】全体的にアクや埃、煤汚れ等が酷く、書かれた文字もぼやけてしまい見えにくくなっていました。修復後
【本紙 修復後】丁寧に汚れ等を除去し、欠損部分を同質・近似色の和紙にて修復する事で、見えなかった文字も確認出来るようになりました修復中の様子
裏打ちの和紙に必要最小限の水分を与えて湿らし、一枚ずつ丁寧に剥がしていきます。
これは総裏と呼ばれる裏打ちを剥がしている所です。
これは総裏と呼ばれる裏打ちを剥がしている所です。
総裏の和紙を剥がし終えたら次に増裏の裏打ち和紙を剥がしていきます。
さらにその下の増し裏の和紙も剥がしていきます。
裏打ちの和紙を剥がして薄くした状態で光を当てて透かしてみると、本紙(作品)の墨の状態がよくわかります。
修復前にはほとんど見えなかった墨も残っているのがよくわかります。また、本紙の傷み具合もよくわかります。
修復前にはほとんど見えなかった墨も残っているのがよくわかります。また、本紙の傷み具合もよくわかります。
光を当てた状態で本紙の傷みを確認しながら丁寧に作業を進めます。
これは肌裏と呼ばれる本紙に直接裏打ちされている和紙を剥がしている所です。
これは肌裏と呼ばれる本紙に直接裏打ちされている和紙を剥がしている所です。
本紙だけの状態になったら、本紙を洗います。
今回は御客様の御希望により、薬品は一切使用せず水だけで洗いを行いました。
今回は御客様の御希望により、薬品は一切使用せず水だけで洗いを行いました。
薬品を使わない水だけの洗いでも、時間をかけて丁寧に洗う事でしっかりとアク汚れ等を落とします。
これは滲み出てきた汚れです。
これは滲み出てきた汚れです。
解説
作品(本紙)は経年変色・アク汚れや埃・煤汚れで茶黒く変色し、またいくつもの欠損部分や折れが発生していました。
表装は元々「佛表装」だったと思われますが、何かしらの理由で上下が切られ、違う裂地を足して付けた仕立てになっていました。
本紙は薬品を一切使用せず、丁寧に洗いアク・埃・煤汚れを除去し、欠損部分は同質の和紙を同色に染めたもので修復し全体が馴染んで落ち着くようにしました。また、折れの発生していた部分は一つづつ丁寧に補強・修復しました。
地色が明るくなった分、墨の色がはっきりと見える様になり、読めなかった部分も確認できるようになりました。
表装は照りの無い、本金砂子箔の金襴裂地を使用し正式な佛表装に仕立てました。本紙とのバランスも良く、落ち着きもあり豪華さもある表装に仕立がりました。