掛軸の修復事例

解説

作品（本紙）は経年変色・アク汚れや埃・煤汚れで茶黒く変色し、また大きなシミもあり、さらにいくつもの欠損部分や折れが発生していました。

本紙は薬品を使用し、丁寧に洗う事によって全体のアク汚れや大きなシミ等を除去し、欠損部分は同質の和紙を同色に染めたもので修復し全体が馴染んで落ち着くようにしました。

また、折れの発生していた部分は一つづつ丁寧に補強・修復しました。

本紙の汚れがひどく、韋駄天尊像の絵がとても見にくい状態でしたが、修復後ははっきりと見えるようになりました。

表装はお預かりした時は大和表装（三段表装）の仕立てでしたが、本紙の古さに見合った色柄の裂地を使用し、佛表装にて御仕立てさせていただきました。