床の間などに掛けて鑑賞する掛け軸は日本古来の装飾品で、中国から伝わってきたとされています。掛け軸には四季を感じる事ができる様々な種類があり、季節に合わせて掛ける事で四季の変化が楽しめます。
また掛け軸には高価な物が多いため、なかなか手に取る機会がない方もいるかと思います。しかし最近では取り入れやすい物も増えているため、掛け軸を気軽に楽しむ事ができるようになってきました。そんな掛け軸ですが材質の多くは紙でできているためとてもデリケートです。
扱う際は気をつけなければならない事がありますのでご紹介します。
濡れた手では扱わない
紙は水分にとても敏感であるため、汗をかいた手や濡れた手で扱うと濡れた部分が水分を吸いシミの原因ともなってしまいます。また、不必要に湿気を帯びてしまうと、その部分が再び乾燥した時に、その部分だけが縮んでしまい、掛軸が歪んでしまいます。
風を直接当てない
クーラーや扇風機などの風を直接当てる事により極度に乾燥してしまい、反ったり、硬くなってしまいますので直接風が当たらないように工夫をして掛けます。
折れが入らないようにする
掛けたりしまったりする際に落としたりして掛け軸に折れが入らないように気をつけましょう。また、掛軸を仕舞う際に巻く時、本紙部分等には極力触れずに、軸先(芯棒の両端の飾り)部分を持って巻き上げる様にしましょう。
一度折れが出来てしまうと、解体しての修復が必要になります。また、折れた部分は劣化が早くなりますので、その部分の痛みが酷くなってくると掛軸が裂けてしまう可能性も高くなります。
掛けっぱなしにはしない
掛け軸が傷む原因の一つとして掛けっぱなしがあります。掛けっぱなしにしていると空気や湿度、空気中の細菌等との接触時間が多くなるので、酸化やカビの繁殖が早くなります。傷みを防ぐためにも定期的に取り替えるようにして下さい。また、梅雨時期等、湿度の高い時期もあまり掛けっぱなしにしないように注意しましょう。
仕舞い過ぎに注意
掛けっぱなしもいけませんが、仕舞い過ぎも掛け軸の巻き癖を強めてしまい傷める事になります。使用していない掛軸も年に1、2回程度、乾燥した日に虫干しする事をおすすめします。日光に当てるのではなく日陰に掛けておくと長持ちさせます。