屏風は日本に古くから受け継がれており、現在ではその機能性だけではなく美術的価値も高く評価されています。
屏風の造り、絵図は時代と共に移り変わってきました。
こちらでは屏風が日本に伝わってから現在に至るまでの屏風の歴史をご紹介します。
中国から伝えられてきた屏風
屏風の原型となるものは漢の時代に中国で生まれたとされており、風除けの道具として使われていました。その後日本では、飛鳥文化時代に朝鮮半島を経由して屏風が伝わってきました。このとき伝えられた屏風は、複数の衝立を綴じ紐で繋いだだけの簡素なものでした。
正倉院に保管されている「鳥毛立女屏風」は、8世紀頃に作られたとされ現存している最も古い屏風です。現在の木で骨格を作って和紙や絹を貼り付け、折り畳める形状は日本で生まれました。
室町時代からは輸出品として重宝されており、その作りの細やかさと芸術的な絵図は高く評価されていました。
そして安土桃山時代から江戸時代にかけては、鑑賞を楽しめるようなきらびやかなデザインの屏風が多く作られるようになりました。明では日本で作られた屏風を軟屏風と呼び、中国古来の風除けとしての屏風を硬屏風と呼んで区別していたとされています。
時代の背景を見る事ができる絵図
屏風に描かれる絵図は様々なものがありますが、中世以後は左右2つを一双として図柄を描くようになりました。
江戸時代頃には戦に関連する図柄も描かれており、宿場の規模や脇本陣などの建物の構造などを読み取る事ができます。
また、合戦の様子の他にもその時代の生活スタイルを描かれたものもあるため、こうした屏風は時代の背景を知る事ができる貴重な歴史資料ともいえるのです。