日本古来の風雅を醸し出す「和額」。西洋文化の発展に伴い洋額の様式を取り入れた額装形式が多くなりましたが、日本ならではの伝統技術と職人の感性によって築かれた和額は存在感があり魅力的です。
そんな和額は、額の形式・枠の色・下地に貼る表の組み合わせに様々な種類があります。

額の形式

「ベタ」は襖のような組子に表張りをして本紙をベタ貼りにしたものです。額の一般的な形で、作品とアクリルとの距離がないため、凹凸のないフラットな状態に仕上がります。
その他にも、本紙を下地とは別の板に貼り、本紙がまるで浮いているかのように見える「浮出」と、浮出とは反対に本紙がはめ込まれている状態の「沈み(落し)」という形式もあります。

枠の色

額装の縁(枠)の種類や塗りの色にも様々な物があり、作品に合わせて似合う物を選ぶ必要があります。

  • 本桑…茶道具の世界では最高級の素材といわれており、現在では大変入手が困難な素材でもあります。塗装をせず木目を生かした色が魅力的です。
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  • 黒…頻繁に用いられる事が多く、多くの本紙に合う枠の色です。艶がある物や艶消し等の塗りがあります。
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  • 茶系…木目が見える色で、黒塗りと比較して簡単に塗装が行えます。(チーク・タメ塗り等)
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  • 白木…透明なニスなどで塗装されており、木目の美しさがより際立ちます。
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  • 朱塗…とても鮮やかな朱色で塗られており、派手な本紙や表と組み合わせると効果的です。
  • 下地に貼るマット

    作品の周りを飾るマットも様々な種類があります。こちらも縁(枠)と一緒に作品と合うように選ぶ事が大切です。

  • 金箔平押…金の箔を押した鳥の子紙で、存在感と高級感のある丁寧な仕上がりが特徴です。金箔の種類によって、様々な印象に変える事ができます。平押しの他に絹目や揉み等があります。
  • 金砂子等…細かく砕いた金をあしらった鳥の子紙で、金箔よりも落ち着いた雰囲気があります。金砂子や梨地等があります。
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  • 銀箔平押…銀の箔を押した鳥の子紙で、金箔とはまた違った趣のある雰囲気に仕上がります。
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  • 緞子裂(どんす)…表装に多く使用されている織物で、様々な色柄があり、それぞれの作品に似合う物を選ぶ事が出来ます。一般的な額装に多く使用されています。